木曽福島2008/11/05 09:21

肥田亭、囲炉裏の間。しばらくぶりのDP-1で撮影。
 連休を利用して木曽福島へ行ってきました。

 木曽福島はデビュー作「う・す・ず・み・い・ろ・の…」を撮影した場所です。
 木曽谷が何処もそうであるように、木曽福島も急峻な山に挟まれて谷底に「こびりついたような」街です。

 木曽と云えば中山道の宿場町がならび、江戸情緒の感じられるところと思われがちですが、木曽福島は昭和初めの大火であらかた焼けてしまい、どちらかというと昭和レトロな風情を残しています。街自身の観光も江戸で行くのか昭和で行くのか迷っているような節もありますが、どうも江戸優勢の感は否めません。

 私にとっての木曽福島はどちらかと云えば昭和レトロな印象があります。しかしその魅力はなんと言っても、複雑に入り組んだ路地と階段です。路地から路地へ、階段を上り下りすれば風景はその都度一変し、知らない間にもとの所に戻ってしまったりして、さながら谷底の迷路といった様相を呈しています。

 撮影の多くは夏にしましたので、木曽踊り…木曽のナ~ァ中乗さァ~ん、木曽の御岳ナンジャラホイ…の提灯や、祭りが近い時は御神燈が吊されしめなわが張られ、一種呪術的な雰囲気があって面白い作品が撮れましたが、今回は秋で提灯もしめ縄も外されさびしい感じがしました。またゆっくり撮影していて気付いたのですが、この街はウンザリするほどの電柱と架空線で紅葉とそのバックの美しい空を眺めるなんて事が出来ません。どこから撮影しても必ず電線が入ります。中部電力に圧力をかけて全ての電線を地中化させるべきです。

 今回、ゆっくりと滞在したおかげで、木曽福島のいろんな部分が見えました。その背景にある大都市と地方都市の違いもよく見えました。撮影だけではなくて随分と考えさせられる撮影旅行になりました。

 さて、その撮影旅行ですが…

 今回、202FAと501C、デジカメのDP-1とCP5200、それからPionyrIIを持って行きましたが、かさばるわ重いわでもう肩も背中も腰もがちがちに凝ってしまいました。やはり思い切って202FA一台で行くべきだったかと思いました。
 路地から路地へ軽いステップで撮影して歩くなら、装備の簡略化は必須だと思いました。
 なんで予備を持っていったかというと、飯付き旅館に泊まり新幹線に乗って…つまりはいつもの18切符+木賃ビジホの旅ではないから、撮れなければその分のお金がめちゃくちゃもったいないじゃない?という実にビンボーな発想と、例えば東京へ撮影に行くならカメラが壊れたところで現地調達すりゃいいじゃん?ハッセルもローライもそのへんで売ってるし、でも木曽福島じゃそうはいかない、というバブリーな発想との最大公約数から「予備機は必要」と判断したのですが、やはりビンボー人の発想はいけません。カメラが故障したら故障したで、別の手を考える…という大人(たいじん)の余裕ある発想をしなくちゃなりません。
 このあたり「一期一会」って事とどう妥協るか、難しいところです。

 でもこれって自動車で行けば全て一挙に解決するんですけどね。きっと木曽福島も自動車で来る人を不知不識想定しているのでしょう。
 鉄道旅行派の私は、次回からはカメラは一台にしようと、つくづく思ったのでありました。

 そんな久しぶりの撮影旅行。それでも結構楽しいじゃねーかって感じでした。でもま、気紛れな僕には18切符と木賃宿の旅が性に合っているかということも再確認しました。

コメント

_ miya改め恵美 ― 2008/11/05 16:48

何ともすてきな部屋ですね!木曽福島は行ったことがありません。谷底の迷路と聞くと、怖いもの見たさで一度は行ってみたくなりました。
私も週末、娘と城崎へ出かけます。実は初めて行く温泉町です。安い料金の宿なのであんまり期待はしていませんが、「城崎温泉」って所をいい意味でも悪い意味でも満喫してきたいです。

_ うろぼろす堂寫眞舘亭主 ― 2008/11/05 17:25

 ほうほう城崎温泉ですか、いいところでしたよ。もっとも温泉街に泊まった訳じゃなくて、近くの海岸にテント張って泊まったんですけどね。お風呂だけ城崎温泉に行きました。あそこは外湯が充実しているので、泊まりがどんなところでも、温泉情緒は満喫できます。夏のシーズンなんか街路を歩く人の下駄の音がすごい迫力で迫りますよ。
 きっと楽しいですよ、よい旅を!

 いずれ、木曽福島へもどうぞ。面白いですよ。

_ *floyd ― 2008/11/05 22:46

あれーー、うろ様は鉄道旅行派でしたか?
私は、大阪から木曽福島なら車ですね。なんといっても使いたいカメラを適当に積み込めるから・・・・。それとカメラ以外も荷物を持つのが好きでないから・・・・。^^)
 ところで、木曽福島の蕎麦は如何でしたか?そろそろ新蕎麦だと思いますが。 食ったんでしょうね。

_ うろぼろす堂寫眞舘亭主 ― 2008/11/06 09:56

>*floydさん
 そうなんです。鉄道旅行だと汽車の中で爆睡できるわお酒も飲めるし食事も出来るってなもので。
 今回も汽車の方が身軽だと思っていたのですが、木曽福島のような街は自動車でやってくる事を基本にものごとが動いているようでした。鉄道ではかえって身動きが取れないくらいです。今後は車にしますわ。
 蕎麦ですが、福島市街にはあまり美味しいそば屋はありませんので、今回は全く食べずでした。車屋国道店がそこそこだとは聞いた事があります。
 最近は361号線を開田に向かって地蔵トンネルすこし手前の「時香忘」という店がものすごい人気です。いつもいっぱいで入れません。一度食べてみたいと思うのですが。
 蕎麦も長年いろんなものを食べ過ぎて、何が美味しいやら美味しくないやら分からんようになってきました。老化でしょうか?

_ 石清水ゲイリー ― 2008/11/06 10:25

列車の旅、それも一人旅とはいいですね。
窓外を流れる風光を眺めつつあれこれと由無し事を考える機会が持てるのは、私には最高の贅沢のひとつに思えます。

さて、妻籠や馬籠は知っていますが、木曽福島はまだ行ったことがありません。御写真を拝見すると、なかなか趣のある町並みですね。想像力を掻き立てられるというか。
江戸情緒よりも昭和レトロ、しかも路地や階段が魅力と聞くといずれ是非訪れたいと思いますが、残念ながらここ当分は無理でしょうね。まあ私の場合は、とりあえず自転車に跨って、買い物のついでに近所をうろうろしているのが良いのかも。

今回の撮影旅行の成果が素晴らしい作品に結実しますように。愉しみにしています。

_ うろぼろす堂寫眞舘亭主 ― 2008/11/07 21:11

>石清水ゲイリーさん

 いらっしゃい!こんにちは。
 木曽福島は、他の木曽宿にくらべ、街並みも保存されて居らず売り物がありませんので、ゆっくりと街を楽しまれる人は少ないです。ゲイリーさん好みのあれこれが多くあると思いますから、何かの機会に是非お訪ね下さい。

 作品も…写真展が迫っております。撮り下ろしだなどと豪語してしまいその軽率さを大変悔んでおります。

 ブログの方も毎度読ませて頂いております。またコメントさせて頂きます。

_ 2.7次元 ― 2008/11/19 00:46

いやぁ、すてきな写真ですね。古いけれど揺るがないどっしり感というものを久々に思い出しました。写っているものの力強さが違うなぁ。なんか懐かしいなぁ、そういうの。光源の周りに出るマゼンタは、DP1のものですね?

_ うろぼろす堂寫眞舘亭主 ― 2008/11/19 11:50

>2.7次元さん
 古民家の紅殻を塗って磨き上げた柱や建具を見ると「日本」を感じます。話しが少し飛躍するんですが、関西にいますと寺も神社も今ひとつ「日本」を感じません、大陸風に思えるんです、色彩が。その点、東へ行けば行くほど、特に東北などには古い日本を感じることが多いです。私はそれらに、2.7次元さんと同じく懐かしさを感じます。薄暗い民家の部屋の隅に餅花がぼんやり浮かんでいるなんていう情景にはたまらないものがあります。

 裸電球の横のマゼンタは、画面中心から放射方向に延びていますね。やはりレンズというかコーティングと言うか、そちらの按配なんでしょうか?

_ BHW ― 2017/04/16 03:46

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